日々あそび


洗面台の蛇口から流れる水に見入る。聴き入る。
バターのパッケージとかを大声で読む。心の中で。
開封後はできるだけ早めにお召し上がりください云々。
でたらめに動いてみる。でたらめに踊ってみる。
いろんなものに触って感触や温度を確かめる。
シャツ、木の幹、土、百円玉、肌、畳、髪、くるみ、紙、湯呑み、ごみ、寿司、花びら、窓ガラス、ウール、テンピュール…
いろんな方法で走ってみる。
全速力で走る。手をひろげて走る。手を振り回して走る。目を閉じて走る。
知っている人の名前を100書き出す。
それぞれの人が今どこで何をしているか想像してみる。
ひなたぼっこして、あったかさの具合を味わう。
ローマの休日とかの別のストーリーをテキトーに空想して創ってみる。
アンとジョー駆け落ち。いろんな地を放浪し波乱万丈な日々を…
食べる前に匂いをかいでみる。
サンマ、ピザ、味噌汁、チョコ、筑前煮、カレー、枝豆、バケット…
花まるうどんとかを超高級なものだとか勝手に想像して、ありがたくうやうやしく食べてみる。
♪名も知らぬ遠き島より流れ寄る椰子の実ひとつ
歌詞を味わいつつ伴奏ナシで歌を歌う。
何もしないで1時間ただ座ってみる。
新宿駅とかの人ごみを歩きながら、見知らぬ人に微笑みかけてみる。
ご無沙汰の人と突如連絡をとってみる。
真っ暗闇の中を手探りで動く。
なにかにすごく感謝してみる。
ストーブを発明した人、家賃がいくらか安いこと…
視界に入るものの名前を心の中でずんどこ言っていく。
道、信号、看板、窓、街灯、電柱、マンホール、車、人、上着、ズボン、帽子、空、雲、鳥、柵、塀…
それに結びつく言葉も連想する。
道。伸びる、曲がる、通じる、出る、めぐる、広い、細い、走る、転ぶ…
言葉たちをでたらめに組替えたり、くっつけたりしてみる。
高校受験とニラの炒め、オフィス街・住宅街・天ぷら街、持続的な横顔、晴れのち湯呑み、内容量250ヘクトパスカル、アンタって子は何回西荻窪されればわかるの! 街頭演説をかつおのだしが聴いている、グランドピアノの重さに晴れた秋の昼の日差しの強さを足してみる…
   
詩を読んでみる。詩を書いてみる。
初めての集まりに出かけてみる。
   
日々は、あそべる。


参考
暮らしの哲学(ロジェ・ポル・ドロワ著 工藤妙子訳 ソニーマガジンズ 2002年)
キッパリ!―たった5分間で自分を変える方法(上大岡 トメ 著 幻冬社 2004年)
100の指令(日比野克彦 朝日出版社 2003年)
考える練習をしよう(マリリン・バーンズ著 左京久代訳 晶文社 1985年)


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